古代ギリシャ語に由来する「ディアスポラ」という言葉は、種など「まき散らされたもの」を意味し、離れた地で芽吹きをもたらすことも含意していたが、大戦後、ユダヤ人の「民族離散」の歴史を表現するようになった。その大戦では、ナチスの迫害から逃れて、リトアニアを経由し、カウナス領事館で岐阜県出身の杉原千畝からビザを受けたおよそ6000の命があったことも心にとどめておかねばならない。
 現在に目を移せば、中東情勢は泥沼化する地域を生み出し、世界各地で巨大な天災がおこっている。戦争や災害によって避難民は、彼らは故郷を追われ、離散し、それぞれの地に移り住みながらも、同じ地への帰属意識を持ち続けている。ディアスポラの問題は、国家の枠組みを超えて、故郷(ワタン)を問い直すことへとつながる。彼らは、生まれた土地で、自らの存在を認めてもらうことすらかなわない。すでに看過できない現状で、アートは、世界の視線を彼らに引き寄せることができるのだろうか。さらに、そうしたアーティストの中には、故郷に戻れず、新たな地で、自らの表現をつづけている人たちもいる。彼らにとって作品は、自ら置かれた立場の表明であり、それはまた現代を映す鏡になっている。
 本展は、郷土の偉人が人道的な行いにより評価を高める中で、現代に翻り、世界をとらえ直そうとする試みである。
English
ムニール・ファトゥミ
mounir fatmi

ラリッサ・サンスール
Larissa Sansour

 
 
 
《失われた春》2011年
mounir fatmi,"The Lost Springs"
©2011 mounir fatmi

作家解説
《未来では、彼らは最高級磁器で食事していたことになる》2016年
Larissa Sansour,"In the Future,They Ate from the Finest Porcelain"Courtesy of Laurie Shabby and the artist
©2016 Larissa Sansour

作家解説
 
アクラム・アル=ハラビ
Akram Al Halabi

ミルナ・バーミア
Mirna Bamieh

「チーク」より《決して忘れない》2012年
Akram Al Halabi,"Never forget"in'Cheek'
©2012 Akram Al Halabi

作家解説
《どの旗も風になびかない》2015年
Mirna Bamieh,"No Flag Flutters in the Wind"
©2015 Mirna Bamieh

作家解説
 
ランダ・マッダ
Randa Maddah

キュンチョメ
KYUN-CHOME

《家》2016年
Randa Maddah,"House"
©2016 Randa Maddah

作家解説
《新しい顔》2015年
KYUN-CHOME, "New Faces"
©2015 KYUN-CHOME
撮影:森田兼次

作家解説